ごてんまりを通じて出会った方々との交流を大切にする阿部さん。教室で作ったまりを仏壇に飾ると言った小学生がいて、先祖を敬う心の豊かさに感動したそうです。本荘ごてんまりを介して人や地域がつながり、手技も受け継いでいってもらいたいと願っています。
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日本古来の伝統的な遊具「手まり」を起源とする本荘ごてんまり。江戸時代後期、石沢鮎瀬地区に伝わっていた「かけまり」の技法がベースとなり、明治時代にゴムまりが普及するまで盛んに作られていましたが、作り手が徐々に少なくなりました。しかし、伝統を守りつないでいこうとする人々によって、制作技法が受け継がれていきました。
昭和36年開催の秋田国体参加選手団への記念品に採用されたことを契機に、全国に知られるようになりました。さらに平成19年、46年振りに開催された「秋田わか杉国体」で、由利本荘を訪れた選手・役員に記念品として贈呈され、その美しさが再評価されました。
工程は、ナイロン袋に入れたもみ殻を芯にして糸を巻き付けながら球形にしていく「土台作り」が基本となります。土台ができたら、模様を作っていく際の案内線を入れる「地割り」を行い、絹糸やリリアンで模様を刺していきます。最後に三方に房を付けて完成。この房を付けるのが本荘ごてんまりの特徴です。
本荘ごてんまりの伝統を受け継ぎ、たくさんの人に知ってほしいと様々な活動に取り組んでいるのが阿部登志子さんです。20年程前に市が開催した講習会に参加し、その後、参加者でサークルを作り、平成元年からごてんまりを作るようになりました。現在は、秋田市と由利本荘市で5つの教室を主宰し講師を務めているほか、地元の小・中学校で制作教室も受け持っています。「一つ作るごとに新たな工夫や模様など、いろいろ追求しています」と阿部さん。観賞用のまりだけでなく、ネックレスやイヤリング、ネクタイピンなどアクセサリーも企画中。身に付けた時に香りを楽しめるよう、まりの中に秋田杉やハーブなどを入れたいと、香料やアロマの勉強も始めました。また、本荘独自の糸を作りたいと染色技術も独自に学んでいます。
昨年は本荘ごてんまり賛歌が作られたそうで、賛歌とともにごてんまりを使ったイベントの構想も広がります。とどまることのない夢や探求心が、伝統を次世代につなぐ原動力になっています。
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