ホーム > JoinT > vol.23

JoinT
トークネットのコミュニケーションマガジン

株式会社有沢製作所

常務執行役員
生産本部 本部長・管理本部 本部長

取締役 野波 英隆 氏(のなみ ひでたか)(中

上席執行役員
管理本部 副本部長

部長 増田 竹史 氏(ますだ たけし)(右

執行役員
管理本部 副本部長
総務部 人事部 品質保証部担当

松矢 英一 氏(まつや えいいち)(左

株式会社有沢製作所 本社
新潟県上越市南本町1-5-5
TEL.025-524-5121(代表)
http://www.arisawa.co.jp

織物屋から技術屋へ
多彩な産業分野へ広がる技術力

1909年、バテンレースを製造する会社として創業した「有沢製作所」。
その後、時代を見極め、「織る」技に「塗る」「形づくる」技術を織り交ぜながら、
さまざまな分野の製品を開発し新たな事業を展開してきました。
見えないところで人々の暮らしを支えている有沢製作所の、技術の変遷と挑戦の軌跡をたどります。

バテンレースの技術を工業製品へ応用

バテンレースとは、「ブレード」と呼ばれる幅約1センチの布製テープや細紐を、型紙の図柄に合わせて縫い付け、その間を糸でかがって模様を作る繊細な製品です。

有沢製作所は、バテンレースに欠かせない「ブレード」の生産を手掛ける工場として、1909年に創業。創業者の有沢富太郎氏は1910年、仲間とともに東洋ブレード合資会社を設立しました(1919年、日本ブレード株式会社に改組)。

しかし、第1次世界大戦、世界恐慌、関東大震災などにより、状態が激変。日本ブレードは1930年に倒産し、富太郎氏は債務・債権を肩代わりして、同年に個人経営の「有沢製作所」を創設しました。そして、綿細幅織物による絶縁テープ、ファスナーテープの生産を始めました。当時、重電用の大型発電機、大型モニターには電気絶縁材料が使用され、そのほとんどは輸入品だったことから、それを高田(現上越市)で製造しようとしたのです。

また、第2次世界大戦中は、早い段階で電気絶縁用テープ、ゲートルやベルトなどの軍需用織物を生産の主力とすることで、工場の軍事産業転用を可能な限り阻止しました。

戦後、有沢製作所は1949年にガラス繊維テープの生産を開始します。ガラス繊維は不燃性・耐熱性・強度に優れ、アメリカでは絶縁用に使用されている、という情報をもとに生産を開始。試行錯誤を繰り返しながら、事業を軌道に乗せました。

その後、1951年に勃発した朝鮮戦争によって、日本は好景気となります。

「好景気は数年続きました。1958年からの岩戸景気、1960年には当時の池田勇人首相による『所得倍増計画』で消費ブームとなり、1965年前後のいざなぎ景気。それらが重なり、当社も設備投資ができるようになり、工場設備を増強したようです」と、常務執行役員の野波英隆さん。

“織る”技術から“塗る”技術へ

有沢製作所が手掛けるガラス繊維織物は、絶縁用資材のほか、プラスチック製品の普及に伴い補強用の基材、グラスファイバースキーの芯材として急速に需要が拡大し、ガラス繊維を織った素材に樹脂を塗り、強度や絶縁性を持たせることで繊維強化プラスチック(FRP)や各種絶縁テープなど、幅広い中間素材を製造するようになります。

「1954年、アメリカのゼネラル・エレクトリック社からシリコーン樹脂の技術供与を受けた電機メーカーに、二次加工をさせて欲しいと申し入れました。1カ月以内に加工機を作るという条件をクリアした後、研究室に機械を設置し、ガラスクロスにシリコーン樹脂を塗布する研究が始められました」

当時、重電各社は、海外から絶縁材となるさまざまな材料を輸入していました。有沢製作所は、国産化へ向けて、樹脂加工分野への進出を決断。時代のニーズに応えながら研究開発を進めていきました。

新たな可能性が広がる“形づくる”技術

「当社の技術は、織る・塗る・形づくるの3本柱がベースとなります。織る技術でガラス繊維を生産し、そこから樹脂を塗って染み込ませたFRPの製造につながり、さらに成形技術へと発展させてきました」と野波常務。

織る技術で作られたガラスクロスやテープは、OA機器や自動車などの電気通信機器用、プリント配線基板用、電気機器などの電気絶縁用、スポーツ・アウトドア用品素材として幅広く使われています。樹脂加工品は、電子機器の小型化に寄与するフレキシブルプリント配線基板(FPC)用材料、自動車や航空機などの強靱・軽量化に採用されるカーボンクロスプリプレグなどの各分野に提供されています。

さらに、織って塗工を施した樹脂加工品を成形する技術は、さまざまな用途に最適な新しいFRP材料を作ることを可能にしました。例えば、熱と圧力を加えたプレス成形品は航空機や宇宙機器の内装用材料として提供されています。また、塗工を経ず直接熱硬化性樹脂と組合わせ、ガラス繊維などをパイプ状に成形するフィラメントワインディング(FW)成形品は、超純水製造設備、海水淡水化設備の材料に利用。そして、微細形状を形づくる技術によって作られる、3D立体表示用レンチキュラーレンズやプロジェクター用大型反射スクリーンなどは、医療分野で欠かせないものとなっています。

野波常務は「FPC材料は、当社売上の約7割を占めています。通信の高速化・大容量化という5Gが控えており、FPC材料に求められることも大きく、現在はニーズに応えていくため研究開発に取組んでいるところです」と話します。

創造・革新・挑戦で次の100年へ

 「先見性があり、計画的に業務を拡大してきたように見えますが、先輩方に聞くと『売上が落ちる度に、必死になって打開策を探り進んできた』と話します。当社の理念は『創造・革新・挑戦』ですが、特に“挑戦”とは、失敗を恐れずに何事もやってみるという社風があります。『昨日より今日、今日より明日』が社長の方針です。社員たちは現状に満足せず挑戦し続けています」と野波常務。

来年、創業110年を迎える有沢製作所。人々の暮らしを支えるその技術は、チャレンジ精神とともに、次の100年につながれています。

くわしくはこちらを
ご覧ください

JoinT
vol.23 2018
(PDF 11.0MB)

広報誌『JoinT』のバックナンバー一覧に戻る

© TOHKnet Co., Inc.

お問合せ

トークネット光

pagetop