ホーム > JoinT > vol.06

JoinT
トークネットのコミュニケーションマガジン

ベガルタ仙台レディース
長船 加奈(おさふね かな)

プロフィール
1989年大阪府豊中市生まれ。高校卒業後、東京電力女子サッカー部マリーゼに入団。12年移管先のベガルタ仙台レディースへ移籍。09年なでしこジャパンに初選出され、10年アジア競技大会で優勝。13年ベストイレブン受賞。ポジションはDF。

ベガルタ仙台レディース
HP.http://www.vegalta.co.jp/

心をひとつにして前へ夢に向かって走り続ける

努力し続けることで、見えてくるものがあります。
ベガルタ仙台レディースのDFとして活躍する長船加奈さんは東日本大震災を経験し、サッカーへの思いが変わったと言います。
大切にしていることや抱いている夢について伺いました。

ボールを蹴る楽しさ

2012年、仙台市に本拠地を置く「ベガルタ仙台レディース」が発足。1年目のチャレンジリーグでは無敗優勝を果たし、なでしこリーグへの昇格を決めました。発足時からセンターバックとして活躍する長船加奈さん。大阪で生まれ育ち、高校までを過ごしてきた長船さんの大阪弁で話す親しみあふれる言葉には、サッカーに懸ける思いがあふれていました。

小さい頃から体を動かすことが大好きだったという長船さん。サッカーを始めたのは、いつ頃からだったのでしょうか。

「幼稚園の頃、4歳か5歳くらいかな。2つ上の兄がサッカーをやっていて、一緒に行ったのが始まりですね。ただボールを蹴るって感じやったんですけど、今も続いてるってことは楽しかったんだと思います」

小学校6年間は少年サッカークラブチームに所属。中学校では陸上部に所属していましたが、地元の女子サッカークラブチームから熱心な誘いを受け、二足のわらじで3年間汗を流しました。高校は陸上部がなかったためクラブチームにのみ所属し、頭角を現しました。

高校卒業するまで「いろんなチームの練習に参加させてもらったんですけど、マリーゼの雰囲気がすごく良かったので、このチームでプレーしたいと思いました」そして、東京電力女子サッカー部マリーゼへ。福島県楢葉町での寮生活が始まりました。

「寮生活だから一日中みんな一緒。話す機会も多いから自然にコミュニケーションがとれて仲がいいし、楽しかったですね」

長船さんはチームの中心選手として活躍。2009年にはなでしこジャパンとして招集され、翌年のアジア競技大会では金メダルを獲得しました。

新たなチャレンジ

順風満帆なサッカー人生を歩んでいた矢先、2011年3月、東日本大震災が発生。福島第一原子力発電所の事故の影響で、クラブは活動を自粛。その後解散することになりました。

「その年、優勝を狙えるんじゃないかってみんなで話していたくらい、いい感じに仕上がっていたので、心残りがすごくあって。もう一回みんなで集まりたいなってずっと思ってました」

震災後は日テレ・ベレーザへ。そのシーズン2位の原動力となりました。そして、新たに発足したベガルタ仙台レディースに移籍。マリーゼからは所属選手18名が加入しました。

大型酒販店「やまや」に勤務し、夕方から練習、週末は試合という仙台での生活がスタートした長船さんの心境は、どのようなものだったのでしょうか。

「マリーゼ時代は事務をしていたので接客業は初めての経験。最初の頃は緊張していたんですけど、慣れてくると楽しくて。チームにはマリーゼから移籍したメンバーが多かったので、心強かったですし。職場の人もサポーターもあったかい人が多いので、来て良かったなと思ってます」

1年目はチャレンジリーグからの挑戦。リーグ成績20勝2分0敗で無敗優勝を果たしました。

「1年間ずっとトップリーグに上がらないといけないという思いで頑張ってきたので、うれしいというよりほっとしましたね」  そしてこの1年で得た経験は大きかったと言います。

「サッカーに対する考え方が変わった1年やったなと思います。それまでサッカーができることは当たり前のことだと思っていました。でも震災後、多くの人が支えてくれているんだと今まで以上に感じました。毎試合たくさんのサポーターが応援に来てくれて力をもらいましたし。そのおかげでサッカーができる、当たり前のことじゃなかったんやと思うことができましたね」

続けることの大切さ

お話を伺ったのは、記録的な大雪(2月中旬)が降った数日後。雪が積もった練習場でハードなメニューをこなす選手たちからは、寒さを忘れさせるほどの大量の汗が光っています。長船さんがサッカーをする上で大切にしていることとは、努力し続けることだと言います。

「練習をやり続けることしかないと思っています。やっていく中でひとつでも自分が納得のいくプレーができたら、気持ちの部分でもラクになるし次につながります。とにかくやり続けること。それだけですね」

ときにはストレスを感じたりすることはあるのでしょうか。

「誰かにということはないんですが、自分のプレーにイライラするときはありますね。そんなときはとりあえず寝ます。寝たら忘れるタイプなので」

リラックス方法は休日の買い物とカフェでの読書。本はジャンルを問わず、書店で手にして面白そうと思ったものをセレクト。遠征先への移動中も手放せないという読書家です。仙台での生活も今年で3年目。大阪出身の長船さんは、東北の冬の寒さに驚かれているのではないでしょうか。

「雪かきは大変ですが、自然が豊かですごく住みやすいです。関西とはまた違った、のんびりした雰囲気が落ち着きますね。海鮮もおいしいし、お寿司や牛タンもほんまにおいしいです」

夢はチームで日本一

長船さんは昨年ベストイレブンを受賞。さらなる活躍が期待される長船さんのこれからの夢について伺いました。

「このチームで日本一になることが今の夢です。そのための課題はいっぱいあるんですけどね。何よりも仲がいいというのがこのチームの取り柄だと思うので、個人の技術というのではなく、チームで守って、チームで攻めてができるようにならないといけないですね。チームとして強くなれば上を狙えるって信じてます。そして、一生懸命頑張っている姿をサポーターに見せられるように精一杯努力するだけですね」

練習後や試合後のミーティングでは、お互いが納得いくまで話し合うという選手たち。なでしこリーグの2014シーズン開幕はもうすぐ。心をひとつにして未来へ向かって走り出したベガルタ仙台レディース。夢をかなえる日が待ち遠しいです。

くわしくはこちらを
ご覧ください

JoinT
vol.06 2014
(PDF 8.7MB)

広報誌『JoinT』のバックナンバー一覧に戻る

© TOHKnet Co., Inc.

お問合せ

トークネット光

pagetop