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トークネットのコミュニケーションマガジン

株式会社幸呼来Japan

〒020-0126 岩手県盛岡市安倍館町19-41
TEL.019-681-9166
FAX.019-681-9165
https://saccora-japan.com/

ものを大切にする心を受け継ぎ新商品も開発

東北地方は気候が寒冷で、綿花が育ちにくく、古くから木綿は大変貴重なものでした。江戸時代中期、南部氏が治めていた南部地方では、古くなった衣類などを再利用して別な布に織り直し、仕事着や敷物などに活用するようになりました。古い布を裂いて緯糸よこいとにすることから南部裂織さきおりと呼ばれ、その技術は現代に受け継がれ、岩手県の伝統工芸品に指定されています。

裂き織でさまざまな生地を作り、多彩な商品を製造・販売しているのが幸呼来さっこらJapan。障がい者の自立・就労を支援するための障がい福祉サービス就労継続支援事業所でもあります。

代表取締役の石頭悦さんは以前、住宅リフォーム会社に勤務しており、バリアフリーを専門に担当していました。障がいに関する勉強会に参加し、特別支援学校で生徒が織った裂き織を見て、緻密な出来栄えに感動。障がい者を織り手として、社内で裂き織部門を事業化しますが、東日本大震災で被災し閉鎖することとなりました。

そこで、会社を辞めて幸呼来Japanを創業する決心をしました。当初4人だった従業員は、現在20人以上になり、自社ブランドの製造・販売はもちろん、国内外の有名ブランドとも取引するようになりました。

裂き織は、緯糸と経糸たていとからなります。緯糸は、古い浴衣やアパレルメーカーの残反など、さまざまな種類の布地を一定の太さに切り裂いて作ります。経糸は配色を決め、専用の機械で巻き取り、織り機に上糸と下糸を交互に通します。上下の糸を交差させながら、という板に巻き付けた緯糸を折り返し打ち込み、布を織り上げます。布地は、ほつれなどをハサミで丁寧に処理した上で、コースターやペンケース、ポーチなどの商品に仕上げます。

究極のエコシステム
裂き織の魅力を発信

自社ブランドは、盛岡さんさ踊りの浴衣を使用した「さんさ裂き織」に加え、10月から新ブランド・SACCORAを立ち上げ、「スタンダード」「デニム」「リバース」「シグネチャー」の4種類の販売を開始。製品のバリエーションが大きく広がりました。

また、裂き織の技術を伝えるワークショップで、「織りたいけど挫折した」という声を聞いたスタッフが、ダンボールでできた手織りキット「DANBOLOOMダンボルーム」を2018年に開発・販売。コロナ禍の影響もあり、巣ごもり需要で全国からECサイトでの注文が相次いでいます。

現在は生地納品に力を入れており、「オニツカタイガー」「EDWIN」「ANREALAGEアンリアレイジ」「KUONクオン」など、国内外の大手ブランドともコラボレーションの実績があります。

「積極的な営業活動はしていませんでしたが、さまざまな企業から残反を活用したいと問合せをいただき、サンプル製作を依頼されています。裂き織が究極のエコシステムであると再評価されているのではないでしょうか。ブランドのチャネルを通じて、裂き織の生地を使った商品が海外で販売されており、必ず社名を入れてもらうようにしています。『SAKIORI』という名前が世界で通じるようにしていきたいですし、裂き織=盛岡の地場産業となるように頑張りたい」と石頭さんは意欲を燃やします。

地域の伝統、障がい者の能力、捨てられる布。3つをつなぎ、新たな価値を紡いできた石頭さん。「裂き織を後世へ継承するとともに、障がい者の力を発信し、偏見をなくしたい。もったいないものを織り成し、作る人と使う人が、心豊かになってほしい」と話します。

「社名は、さんさ踊りの『サッコラ~、チョイワヤッセ~』というかけ声が由来。『幸せは呼べば来る』という意味で、世界に飛び立つ企業となるようJapanを付けました。これからも海外のメーカーとコラボレーションして、裂き織の魅力を広めたいと思います」。

ものを愛おしむ心や伝統の手仕事を未来につなぎ、幸せを呼ぶ品々が盛岡で紡がれていきます。

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vol.34 2021
(PDF 6.9MB)

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