ホーム > JoinT > vol.13

JoinT
トークネットのコミュニケーションマガジン

仙台張子
松川だるま製作所

本郷だるま屋(ほんごうだるまや)

宮城県仙台市青葉区柏木1丁目3-7
TEL.022-233-5658

絢爛豪華 福尽くしの青いだるま

猿や虎、雀といった可愛らしい玩具や様々なお面など、素朴で表情豊かな仙台張子。江戸時代の天保年間(1830~44年)に伊達藩士・松川豊之進が庶民の心のよりどころとして創始したといわれ、昭和60年(1985年)に宮城県の伝統的工芸品に指定されました。

代々仙台張子を製作する本郷だるま屋は、初代・本郷久三郎が松川氏に弟子入りし、独特な構造形式と技術を継承。現在、10代目の本郷久孝・尚子ご夫妻が伝統技法を受け継ぎながら暖簾を守っています。

仙台張子の代表格とされる「松川だるま」は、新春の縁起物として古くから親しまれてきました。顔の周りを群青色で縁取り、最初から両目が入っているのが特徴で、豪華な装飾と鮮やかな色遣いが目を引きます。

だるま作りは一年を通じて行われており、自宅に併設された作業場で久孝さんと尚子さん、吉岡敏広さんの3人が昔ながらの手法で一つ一つ心こめて作っています。まず木型に食用油を塗り、角叉という海藻を煮出した糊で和紙を重ね貼りし、体(生地)を作ります。天日で乾燥させたら木型から外して、切り口を和紙で貼り、底に起き上がりと呼ばれる粘土の土台を接着。胴に宝船や大黒さまなどの飾りを付け生地が完成します。その後、白い胡粉を全体に塗って乾かしてから、顔以外を赤一色に塗り、再び乾燥させます。顔に肌色を塗ったら、眉やひげ、口などを描く絵付けの作業へ。顔周りを群青色で縁取り、金粉を散らして松竹梅などの縁起物で装飾し、最後に両目を描き入れて松川だるまの完成です。

だるまがつなぐ ご縁を次の世代へ

180年以上にわたり受け継がれてきた松川だるま。東日本大震災の影響で、糊の原料となる県内産の角叉や和紙などの材料が入手困難となり、一時は休業も考えたそうです。「震災直後、店先に飾っていただるまを見て涙される方、船が流されてしまったからと宝船の飾りを施しただるまを買い求める方など、たくさんの方がいらっしゃいました。また、家にあった和紙を届けてくださった昔からのお客さま、北海道産の角叉があるとの情報を教えてくださった方など、だるまを通じて出会った方々に支えられて作り続けることができました」と尚子さん。だるまが心のよりどころになっていると実感したそうです。

現在では、松川だるまの伝統はそのままに、胴に合格の文字を描いただるまも作っています。お客さまの要望に応えて作り始めたものだそうで、ここにもだるまがつないだご縁が感じられます。

近年、信仰の対象としてはもちろん、民芸品・工芸品としての嗜好が高まり、インテリアや贈り物として買い求める方も多いそうです。昔も今もこれからも、無病息災・家内安全を四方八方から見守り続ける松川だるま。伝統の手業とともに、だるまに導かれたご縁も次の世代につながれていくことでしょう。

くわしくはこちらを
ご覧ください

JoinT
vol.13 2015
(PDF 10.8MB)

広報誌『JoinT』のバックナンバー一覧に戻る

© TOHKnet Co., Inc.

お問合せ

トークネット光

pagetop