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トークネットのコミュニケーションマガジン

馬具・革製品
塩釜馬具店

岩手県盛岡市大沢川原2丁目2-32
TEL/FAX.019-622-5393

唯一の馬具店として馬事文化をつなぐ

古くから名馬の産地として知られる岩手県。農耕に、輸送に、馬が私たちの暮らしを支えていました。盛岡では、昭和初期まで馬車が走っていたこともあり、馬具店はたくさんありましたが、今では塩釜馬具店だけになりました。現在は3代目の塩釜孝さんが看板を守っています。

塩釜馬具店は、北海道で馬具職人として働いていた孝さんの祖父・孝造さんが、旧陸軍騎兵隊第三旅団の専属馬具職人として要請され、大正11年に盛岡へ移住し、独立したことに始まります。孝さんは大学卒業後、他業種に就職しましたが、後に家業を継ぎ、約40年にわたり職人として腕を磨いてきました。「最初は縫うことで革の性質を覚え、その後、革の見極め方や裁断の仕方を覚えていった」という孝さん。今では、触っただけで革の善し悪しが分かるといいます。

馬具や革製品の素材となるのが、なめした牛革です。革は部位によって厚さや柔軟性が異なります。馬具に適しているのは、「背取り」と呼ばれる背骨を中心とした背中の部分。強度が高くほとんど伸びません。現在、馬具の注文は伝統行事「チャグチャグ馬コ」に関わるものが主で、「首鈴」「鼻隠し」「耳袋」や鞍の内側など革が使われる部分を製作しているほか、装束の修理も行っています。

馬具製造技術を活かした丁寧なものづくり

農耕馬が少なくなった頃から、馬具製造の技術を活かして様々な革製品を手掛けるようになりました。剪定バサミやペンチ用のケース、ベルト、バッグなど多岐にわたります。使用する革の部位も馬具とは異なり、脇腹下の部分は伸びる性質があるため道具を入れるケース類に、尻の部分はバッグなどに使用します。縫いも難しい技術です。「ミシンで縫ったものは、1カ所裂けるとすべてだめになりやすいので、やはり手縫いのほうが丈夫です」と、厚い革を一針一針手で縫って仕上げるのが孝さんのこだわり。頻繁に曲がる部分や摩擦が激しい所は、力の掛かり具合を計算し、慎重に折り返し縫いを施すなど、長く使えるよう丁寧な製品づくりを心掛けています。

一番人気の革製品は「熊鈴」。山に入る際などに熊よけとして使用するもので、北海道で一般的な鈴が固定されたタイプです。これは初代から受け継いだ技術で、鈴が落ちないよう頑丈に取り付けられており、アウトドアや通学用、インテリアにと全国から注文があるそうです。

現在、娘の亜希子さんが4代目を目指し、孝さんの下で技術の習得に励んでいます。「チャグチャグ馬コの装束もそうですが、次代につないでいけるよう、様々な技を父から引き継いでいきたい」と話す亜希子さん。職人としての心構え、伝統の技術がしっかりと受け継がれていきます。

馬産地・岩手を象徴する初夏の風物詩 チャグチャグ馬コ

200年以上の歴史を持ち、農耕で疲れた馬をいたわり、人馬の無病息災、五穀豊穣を祈願する伝統行事です。馬に関する祭りは全国に様々ありますが、馬に感謝するための祭りはチャグチャグ馬コだけ。馬の装束に付いている鈴の音が「チャグチャグ」と聞こえることに由来します。色鮮やかな装束を着けた100頭もの馬と馬主が、馬の神を祀る滝沢市の鬼越蒼前神社(おにこしそうぜんじんじゃ)を参拝した後、盛岡市の盛岡八幡宮へと詣でます。昭和53年に国の「無形民俗文化財」に指定され、平成8年には環境庁の「日本の音風景100選」に選定されました。毎年6月第2土曜日に開催されます(今年は6月11日)。

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