ホーム > JoinT > vol.25

JoinT
トークネットのコミュニケーションマガジン

株式会社 磯野紙風船製造所

新潟県三島郡出雲崎町羽黒町423
TEL.0258-78-2045 FAX.0258-78-2107
http://www.isonokamifusen.co.jp/

漁師の妻の手仕事が生む素朴な伝統玩具

色鮮やかで丸く、昔懐かしい紙風船。1891(明治24)年頃に誕生したといわれており、昭和初期までは首都圏でも作られていましたが、今ではほとんどが新潟県出雲崎町で作られています。

出雲崎町は佐渡との交易地、また北前船の寄港地として古くから栄えた漁業の盛んな町。「冬場は海が荒れて船を出せないので生活が大変でした。これを何とかしようと、先々代の磯野彌一郎が東京に産業を探しに行き、出会ったのが紙風船でした」と話すのは磯野成子さん。1919(大正8)年創業の磯野紙風船製造所の4代目です。紙風船作りは冬場の貴重な収入源となり、漁師の妻の手仕事として町内に広まりました。

基本的な紙風船は、大きさが同じ舟形の8枚に息を吹き込む部分と底の部分の2枚、合計10枚の薄い紙でできています。工程は、貼り合わせる順番に紙を並べる「紙組み❶」を行い、「型抜き❷」した紙を「立て貼り❸」し球形にします。銀色の「二重口❹」を貼り、「口貼り❺」して口底を付け、たたんで「仕上げ❻」、まとめて紙ひもなどで結束し箱詰めする「梱包❼」の7つに分けられます。全工程を一人で行うのではなく、貼り合わせたり、たたんだりする作業をそれぞれが分担しています。製造所で行っているのは❶❷❼で、❸~❻の工程は町内外にいる貼り子さんたちが担います。

工夫を凝らしてユニークな商品も製作

トキ(新潟の県鳥)、ペンギン、金魚、イチゴなど、オリジナルの紙風船もバリエーションが豊富です。

「息子が6歳の時、小学校の運動会で販売デビューしたのが金魚です。尾ひれを付けたり目を貼ったりして、丁寧に作った紙風船を売店に置いてもらったら、すべて売り切れたんです」ときっかけを話します。「12~13年前には久慈市のもぐらんぴあ水族館から依頼があり、キャラクターのもぐちゃんを紙風船にしました」。最近では、くまモン紙風船を制作したほか、今後はスタジオジブリとのコラボレーションにも本格的に取り組むそうです。

「球体の紙風船は、どのようなデザインにもアレンジしやすいのですが、動物やキャラクターなどは、膨らんだ状態だけでなく、折りたたんだ状態でも、それらしく見えるように苦心しています」と話します。長年、捨てられてしまう台紙がもったいないと感じていたので、台紙を絵本にした紙風船の創作にも意欲的です。1年に1回は新しいものを作り、挑戦していきたいそうです。

息子さんも後を継ぐ決意をし、現在は材料や機械、製作の各工程を学んでいます。次の世代に受け継がれ、夢がふくらみ心和む工芸品として愛されていくでしょう。

くわしくはこちらを
ご覧ください

JoinT
vol.25 2018
(PDF 27.6MB)

広報誌『JoinT』のバックナンバー一覧に戻る

© TOHKnet Co., Inc.

お問合せ

トークネット光

pagetop