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トークネットのコミュニケーションマガジン

角館押絵伝承会
[事務局]一般社団法人 田沢湖・角館観光協会

秋田県仙北市角館町上菅沢394-2
TEL.0187-54-2700 FAX.0187-54-1755
https://tazawako-kakunodate.com/

豊かな地域文化に育まれた押絵

みちのくの小京都と称され、武家屋敷で知られる角館。古くから桃の節句や端午の節句に、人形などと一緒に押絵を飾る風習が受け継がれてきました。

羽子板などの飾りとして目にする押絵の起源は諸説ありますが、屏風や襖、掛け軸などに施す貼り絵に発する技法といわれています。京都御所の女官が衣類の端切れを使って作り始め、江戸時代中期になると大奥の女中が手芸として楽しむようになりました。やがて庶民にも広がり、歌舞伎役者などを題材にした押絵羽子板が流行。地方には雛人形や節句飾りとして広まりました。

角館では幕末から明治にかけて、日本画家の平福穂庵や子息の百穂をはじめ郷土画家が活躍し、押絵の下絵や面相を描きました。また、祭りに欠かせない人形師がいたほか、芝居好きな土地柄だったこと、呉服屋が多く衣装生地も豊富なことを背景に、明治から昭和初期にかけ、庶民の間で押絵が盛んに作られました。

押絵はまず、線画による下絵を作成し、完成のイメージを高めるため下絵に彩色します。トレーシングペーパーに下絵を写し、色を決め生地別に番号を記入。これをさらにトレーシングペーパーに写し、上下の重なりを考え糊代を付けた型紙を作ります。型紙をコピーして厚紙に貼り、一つ一つハサミで切り分けます。切った厚紙に綿を乗せ、布で包んでから裏側をボンドで固定し各パーツを作成。顔の表情(面相)は、大曲在住の日本画家・山田美知男氏に依頼します。そのパーツを下から重ねて糊付けして、裏面に和紙を貼り竹串を固定し、台座に収めて完成です。

独自の伝統文化を未来につなぐ想い

商家や町屋に伝わってきた角館押絵ですが、蔵の取り壊しに伴い散失することが多く、作り手も少なくなりました。そこで6年前に伝承会を発足し、古い押絵の保存、研究、再現のほか情報発信を行い、認知拡大と技術継承を図る取り組みを始めました。

伝承会の発起人であり会長を務める後藤悦朗さんは、雛めぐり行事で安藤醸造に飾られた押絵を見たのが発足のきっかけだと話します。「素晴らしい押絵が受け継がれているのに、蔵とともに廃れていくのを残念に思い、会を発足しました。角館を訪れる外国人観光客も増えているので幅広くアピールしていきたいですし、今後は小冊子などを作ってより多くの方々に知っていただきたいと思います」と話します。

伝承会では、1月から2月にかけて制作技術の継承を目的に押絵教室を実施しています。講師を務める増田昌子さんは、「9年程前、樺細工伝承館で平福穂庵が下絵を描いた押絵を見て、立体感や躍動感、面相の繊細さに驚きました。この技術を後世に伝えていかなくてはと思い、角館在住の安藤陽子さん(安藤醸造11代大女将の妹)に教えてもらい、後は手探りで押絵を作り始めました」と振り返ります。「難しい点は型紙を作ること。出来上がりを想像しながら作るので、非常に時間がかかります。教室では、上級者は三人官女や忠臣蔵など好きな題材を作ります。下絵から型紙を起こし、完成するまでの工程を身に付けるのが目的です」。

現在、初心者から上級者まで受講生は20数人。独自に発展してきた角館押絵の技法を受け継ぎ、伝統文化を次代につなごうとする想いが広がっています。

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vol.26 2019
(PDF 35.4MB)

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