ホーム > JoinT > vol.27

JoinT
トークネットのコミュニケーションマガジン

十和田きみがらスリッパ生産組合
[事務局]株式会社パワフルジャパン十和田

〒034-0051 青森県十和田市大字伝法寺字平窪37-2
TEL.0176-28-3611 FAX.0176-20-8055

捨てていた皮を利用し伝統工芸品に昇華

青森県の南部地方一帯は、平安・鎌倉時代から多くの名馬を輩出した土地柄です。藩政時代に十和田で馬市が開催。明治17年には軍馬育成所(後の軍馬補充部)が開設し、競りで賑わい馬産地として知られるようになりました。

馬の飼料はデントコーンというトウモロコシで、大量に栽培し身を取った皮は捨てていました。この皮を有効活用しようと、昭和22年頃から作られるようになったのが、きみがらスリッパです。元々、山形県で作られていた製法を有志が学んできて、農閑期の手仕事として広まりました。昭和38年に十和田きみがらスリッパ生産組合が設立されました。平成8年には青森県の伝統工芸品に指定され、生産・販売・普及に努めてきました。

馬を飼う人が徐々に少なくなり、生産も減少してきましたが、きみがらスリッパを伝承するために、組合員がデントコーンを独自に栽培しています。毎年5月下旬に種を蒔き、7月頃に除草。9月下旬から収穫し始め、10月中に収穫します。その後、皮をむいて2週間ほど乾燥します。

スリッパを編み始めるのは11月中旬から。まず、底の芯となる縄をスゲで編み、作業台に縄を掛けて、底のつま先から編み始めます。ある程度の長さになったら裏返し、足型を乗せて甲の部分をつま先から編んでいき、底脇の部分を編み込み、踵部分を仕上げて完成します。

皮を裂き、霧吹きで湿らせながら、1枚1枚手で編んでいくため、熟練した組合員でも1足仕上げるのに1日から2日かかります。組合では、12月から3月まで週1回講習会を開き、技術の向上と継承に努めています。

市や高校とも連携し栽培・製作技術を未来へ

デントコーンの栽培は、除草や収穫など力仕事も多く、「台風が来た時は、特に注意が必要。デントコーンは大きいので、倒れると引き上げるのが大変。早く起こさないとタヌキやクマに食べられてしまいます」と苦労を話す宮本桂子組合長。7年ほど前から、地元の三本木農業高校の生徒が栽培に協力しているそうです。また、高校生や小学生を対象に、ミニ草履の製作体験教室を開き、次世代層への伝承に努めています。

今春、三本木農業高校の卒業生が1名組合に加入し、組合員が16名になりました。「販売できる製品を作れるようになるには4~5年かかりますが、若い人はもっと早く技術を習得できると思います」と若手後継者へ期待を込めます。

十和田市とわだ産品販売戦略課の清野拓人主事は、「製作講習会に参加した方が、組合へ加入するケースも多いので、チラシを配布したりホームページに掲出するなどして、組合員を増やしていきたいと思います。また、物産展への出展や首都圏を中心とした県外の商談会でのPRを積極的に行い、販路開拓にも取り組んでいきます」と今後の抱負を話します。十和田の伝統文化に育まれたきみがらスリッパは、これからも地域の力に支えられ、魅力ある工芸品として受け継がれていきます。

くわしくはこちらを
ご覧ください

JoinT
vol.27 2019
(PDF 46.0MB)

広報誌『JoinT』のバックナンバー一覧に戻る

© TOHKnet Co., Inc.

お問合せ

トークネット光

pagetop