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トークネットのコミュニケーションマガジン

高橋工房

〒970-8053 福島県いわき市平正月町1-7
TEL&FAX.0246-23-4077
http://takahashikoubou.jp

勇壮な絵に込められた健やかな成長への願い

5月5日のこどもの日に鯉のぼりを飾る光景を目にしますが、福島県いわき市一帯では武者などを描いた絵のぼりを飾る風習が残っています。

起源は戦国時代、武士が戦場で敵・味方を識別するために用いたのぼり旗に由来します。室町時代末期になると、武家では5月頃に虫干しを兼ねて、かぶとを屋内に飾り、庭先にのぼりを立てるようになりました。江戸時代には、この風習が武士から庶民にも広まり、子どもの健康や成長を願い、端午の節句に祝い事として飾るようになりました。

いわきでは、磐城平藩の三代藩主・内藤義概ないとうよしむねが奨励し、絵のぼりが盛んに作られるようになりました。かつては家々が競うように掲げたそうです。

いわき絵のぼりの伝統を受け継ぎ、手仕事で製作を続けているのが高橋工房です。初代の高橋與平よ へい氏が大正時代に創業し、絵のぼりやだるまの製作を開始。二代目の晃平しょうへい氏とともに絵柄の改良に取り組み、独自ののぼりを完成しました。現在は、三代目の謙一郎さんが技術を継承し、息子の聡一郎さんとともに製作に励んでいます。

いわきの風習を守り未来につなぐ

絵のぼりの大きさは縦約4・5m、横約70㎝、木綿の布が使われます。最初に木綿地を裁断し、1時間ほどお湯で煮て糊付けし、天日干しします。次に、絵柄が描かれた手本の上に木綿地を敷き、薄墨でなぞり下絵を描いた後、下絵にそって刷毛で色を塗る下染めを行います。その後、輪郭や毛髪、目などに墨を入れて絵を仕上げ、のぼりの上部に家紋を描き、と呼ばれるさお通しを縫い付けて完成します。

絵柄は、中国に伝わる神で厄除けなどに効のある鍾馗しょうき、源平の合戦、戦国時代の英雄や故事にちなんだ名場面を題材に約10種類。1本仕上げるのに1週間ほどかかるそうです。

「黄色の上にオレンジ、赤色と、薄い色から徐々に濃い色を塗り重ねるのが、うちの特徴」と謙一郎さん。「奥行きが出て絵に立体感が生まれます」。

息子の聡一郎さんは、15年前に後を継ぐことを決意。今は下染めを担当しています。「工房で手掛けたのぼりは、遠くから見てもわかります。のぼりが飾られているのを見るとうれしくなります。お客さまに喜んでもらえるのが一番です」とやりがいを感じています。

「創業から100年近くになりますが、これからも伝統を守っていきたい」と親子で話します。受け継がれてきた技を継承し、子どもたちを想う気持ちも未来へつなぎ、この地域ならではの光景が守られていきます。

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vol.30 2020
(PDF 7.0MB)

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