2026.03.23

近年ではクラウドサービスなどの急速な普及により、インターネットのトラヒック量は急増の一途を辿っています。企業の情シス担当者やネットワーク管理者においても、以下のような悩み・課題を持つ方も多いのではないでしょうか。
「インターネット接続時、本社へのトラヒック集中により、web会議が途切れるなどの通信遅延に悩まされている」
「業務部門から、ネットワークが遅く業務に支障が出ていると苦情が来ている」など
本社やデータセンターなどのセンター拠点への過度なトラヒック集中を解消するうえでは、インターネットブレイクアウトが有効です。しかし、「インターネットブレイクアウトという言葉は聞いたことあるが、実はよくわかっていない」という方も少なくないでしょう。
本記事では、インターネットブレイクアウトが注目されている背景や、インターネットブレイクアウトの概要、メリットについて解説します。また、金銭的コストや、セキュリティ対策にかかる構築・運用コストを抑えて導入できるキャリアグレードのインターネットブレイクアウトについても紹介していますので、ぜひ最後までご覧ください。
はじめに、情シス担当者を取り巻くネットワーク環境の大きな変化に触れながら、インターネットブレイクアウトが注目されている背景や、インターネットブレイクアウトの概要、メリットについて解説します。
インターネットブレイクアウトが注目されている背景として、クラウドサービスの急速かつ広範な普及が挙げられます。近年では、Microsoft 365やGoogle Workspace、Salesforce、AWS、Microsoft Azureといったさまざまなクラウドサービスが普及しています。
これまではセキュリティを担保しやすい事情から、本社やデータセンターなどのセンター拠点経由のネットワーク構成が主流であり、その構成で問題なく運用できていましたが、クラウドサービスの利用が進んだことにより、センター拠点にインターネットトラヒックが過度に集中するケースが多くなっています。それにより通信遅延や業務効率低下など業務において支障をきたすようになり、従来のネットワークのまま業務活動を継続することは困難な状況になっているのです。
<参考データ>
総務省の調査データによると、インターネットトラヒックは増加の一途を辿っています。特に近年の増加ペースは著しく、従来型のネットワークでは通信の遅延や業務の停滞が生じやすくなっています。インターネットブレイクアウトへの注目が集まるのも自然な結果であるといえるでしょう。
出典:「総務省 令和6年版情報通信白書」
前述の背景を踏まえ登場してきたのがインターネットブレイクアウトです。インターネットブレイクアウトとは、センター拠点を経由せずに、各拠点(支社・営業所・工場)から直接インターネットへ接続するネットワーク構成を指します。「ローカルブレイクアウト」と呼ばれることもあります。
従来の企業ネットワークでは、セキュリティポリシーの統一的な適用や通信状況の管理・監視を一元化するため、各拠点からのインターネット通信はセンター拠点に集約することが主流でした。
先述の通り、従来の構成ではすべての通信をまとめて管理しやすい反面、センター拠点の回線や機器への負荷が集中する課題がありました。インターネットブレイクアウトは、これらの従来の課題を解決するために考案された、各拠点から直接インターネットやクラウドサービスにアクセスする仕組みです。
インターネットブレイクアウトの主なメリットは、 センター拠点の帯域を過度に消費せず、ネットワーク全体の帯域の有効活用やネットワーク機器(ファイアウォール、ルーターなど)の負荷分散を図ることができる点です。
その結果、以下のような効果を期待できるでしょう。
・通信パフォーマンスの向上
・ZoomやTeamsなどを使ったWeb会議時の品質向上
・クラウドサービス利用時のレスポンスタイムの改善
・ファイルのダウンロード速度の向上などによる従業員の生産性向上
インターネットブレイクアウトには前述のメリットがある一方で、導入の前には以下の点を確認しておく必要があります。
インターネットブレイクアウトを利用する際は、事前に現行のネットワークの課題を明確にする必要があります。インターネットブレイクアウトは、各拠点から直接インターネットへ接続させることで、センター拠点へのトラヒック集中を解消する仕組みです。そのため、「センター拠点の回線やネットワーク機器の負荷が高い」といった課題を抱えている場合に大きな効果を発揮します。
一方、もしネットワークの課題が「特定のクラウドサービスのレスポンスが悪い」などの個別の事象である場合、インターネットブレイクアウトが必ずしも最適な解決策とは限りません。自社が抱える本当の課題が何なのかを正確に把握しないまま導入を進めてしまうと、期待した効果が得られない可能性もあります。
そのため、まずは「どのような業務に支障が出ているのか」「どの通信が問題を引き起こしているのか」といった課題を具体的に特定し、その解決策としてインターネットブレイクアウトが最適かどうかを見極めるプロセスが重要です。
センター拠点に集約していたインターネット接続点を分散させるため、新たに各拠点での回線契約が発生し、これに伴う初期費用(工事費など)や月額の回線利用料が拠点数に応じて増加します。
特に拠点数が多い企業にとっては、金銭的なコスト負担は大きなものとなるでしょう。そのため、インターネットブレイクアウト導入による通信品質の向上や遅延解消といったメリットと、これらの金銭的コストを比較検討しながら費用対効果を見極めることが必要です。
インターネットブレイクアウトによって各拠点からインターネットに直接接続することで、外部と接続するポイントが増えるため、その分サイバー攻撃の侵入口も増えてセキュリティリスクが高まります。
セキュリティリスクに対応するためには、各拠点においてファイアウォールやIPS/IDS(侵入検知・防御システム)などの導入が求められます。加えて、各端末におけるエンドポイントセキュリティの強化もこれまで以上に重要です。
また、これらのセキュリティ対策を維持・管理するための体制構築や作業工数の確保も必要となります。
一般的なインターネットブレイクアウトの場合、金銭的なコストやセキュリティリスク対策に留意する必要がありますが、キャリアグレードのインターネットブレイクアウトならそのような懸念がなく利用できます。キャリアグレードのインターネットブレイクアウトは、各拠点から通信事業者の閉域網に接続し、通信事業者が堅牢な入口・出口対策を行っているファイアウォールからインターネットに抜ける構成のことです。
そのため、拠点ごとにインターネット回線を契約する必要がなく、金銭的コストや、セキュリティ対策にかかる構築・運用コストを抑えて、インターネットブレイクアウトのメリットを享受することが可能です。
この記事のポイントは以下のとおりです。
本記事で紹介したキャリアグレードのインターネットブレイクアウトに関するサービスとして、トークネットでは「Thinkインターネット」「TOCNゲートウェイ」を提供しています。「センター拠点のネットワーク負荷を軽減したい」「ただ多額の費用はかけられないし、自分たちだけでセキュリティ対策を行うのも不安がある」といったお悩みをお持ちの方は、まずはお気軽にトークネットまでお問い合わせください。