山形県山形市銅町2-23-6
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江戸時代から400年続く技術を守るのは、「お茶をおいしく入れるため」の道具を作るという心意気。
伝統の山形鋳物を新しい発想で時代と世界に挑戦し続けます。
1604年に創業した山形鋳物の老舗「菊地保寿堂」に伝わる二つの家訓。一つは、伝統的なものを残しながら、その時代に合ったものを作る。15代目社長、菊地規泰(きくち のりやす)さんは、「伝統産業は受け継ぐだけでは縮小してしまう。時代が求めるものを生み出していくことが大切なんです」と話します。
菊地保寿堂が誇る伝統の技は、鉄を限りなく薄くする加工技術。この技術により、軽くて使い勝手の良い急須や鉄瓶、茶の湯の釜などが作られてきたのです。そして、菊地さんは伝統に新たな風を吹かせます。「お茶を美味しく入れるため、素材開発から見直し、色づかいや形など、従来の山形鋳物にはないティーポットを、海外向けに作りました」。
現代の多様なライフスタイルにも合う製品のブランド名は、「WAZUQU」(わずく)。 2006年、フランスで開催されたインテリアデザインの総合見本市「メゾン・エ・オブジェ」に出展し、注目を集めました。現在は、北米の世界最大カフェチェーンが、新たに展開するお茶専門店から発注を受けています。
菊地保寿堂に伝わるもう一つの家訓は、次の代のことも考えて仕事をする。
「ティーポットは、おかげさまで日本でも逆輸入の形で注文が殺到しています。この主力製品の品質を維持し、生産していくには人材の育成が欠かせません」と菊地さん。
菊地保寿堂には現在、20代~60代の職人が男女合わせて約20名います。年齢層がさまざまなのは、熟練の職人が若手を育てる環境をつくるため。若手は製品を繰り返し徹底的に作り込むことで、技術力を上げていきます。
そうして磨かれた技術力は、いずれ、他の製品にも応用されます。実際、菊地保寿堂の鉄を薄く固める加工技術は、伝統工芸の分野だけでなく、産業用部材としても役立てられています。「基本ができていれば新しい技術も開発し、いろんな展開ができます。私の代だけでなく、次の世代も仕事を続けていくためのに基盤を作っておくことが大事なんです」。
伝統と革新。この両輪で、菊地保寿堂は時代に合ったもの作りに挑戦し続けています。
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