福島県喜多方市一本木上7749
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古くから福島県の会津地方では、娘が生まれると桐を植える習慣がありました。また、江戸時代に会津藩が桐の植栽を奨励したことから、各地で盛んに植林されるようになりました。寒暖の差が厳しい特有の気候風土に育まれた桐は、年輪が緻密で美しく丈夫なのが特徴で、「会津桐」は質が高いことで知られています。
明治45年に創業した黒澤桐材店は、箪笥や琴などに使われる桐材の販売、会津桐下駄の製造・販売も行っています。4代目の黒澤孝司さんが跡を継いだ頃は、下駄を履く人が少なくなり桐下駄の販売は低迷の一途。しかし、「なくしてはいけない」との思いから会津桐下駄を作り続けてきました。
桐は、植えてから伐採するまでに30~40年。伐採した原木は、1年ほど屋外に寝かせて乾燥させ、円柱状にカットしたものから直方体の木地を切り出し、半年から1年ほど野ざらしにしてアクを抜き、糸鋸などで大まかな下駄の形にします。その後、十能で削り磨いて鼻緒をすげます。桐下駄が完成するまでに多くの時間と手間がかかります。一般的に、桐下駄は工程ごとに分業化しており、原木の伐採から手作業による仕上げ、販売まで行っているのは、喜多方でも黒澤桐材店だけになりました。
現在、息子の孝弘さんが桐下駄作りの全工程を一人で行えるように、様々な技術の習得に努めています。原木の伐採や桐材の見極め方など製材に関することを孝司さんから、仕上げに関することは市外在住の下駄職人の方から学んでいます。
幼い頃から会津桐下駄に囲まれて育った孝弘さん。桐下駄を作り、お客さまがそれを求めて来店する光景が、かけがえのないものだと気づき、伝統的な履物である桐下駄を残していきたいと、跡を継ぐことを決意しました。
6~8月は百貨店の催事や展示会など各地に出向きます。「その土地のニーズやお客さまの意見を直接伺えるので、新たな商品開発のヒントになります。一人一人に満足いただける、より良いものを作っていきたいです」と抱負を話します。
「会津桐にこだわり、アフターケアなどの付加価値をつけ、お客さまに満足いただける商品力と価格で提供したいと考えています」と孝司さん。「お客さまとのコミュニケーションを大切に、オリジナルの創作下駄など、やりたいことに挑戦してほしい」と孝弘さんへの期待を膨らませます。
職人としての目利きや技、心意気と会津桐下駄にかける思いも受け継がれています。
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