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トークネットのコミュニケーションマガジン

宮城興業株式会社

山形県南陽市宮内2200番地
TEL.0238-47-3155
FAX.0238-45-3015/3365
HP.https://www.miyagikogyo.co.jp/

バブル崩壊を機に独自のシステムを構築

日本に洋式の靴が入ってきたのは幕末のこと。明治維新を機に洋装が普及し、靴も徐々に浸透していきました。東北に拠点を置く靴メーカーとして、全国の靴愛好家に名を知られるのが宮城興業です。

宮城興業は1941年、軍靴製造を目的に仙台市に設立され、終戦を迎える1945年に南陽市へ移転。1969年には、靴の本場であるイギリスのバーカー社と技術・販売提携するなど、技術の向上と研鑚に努め、良質な靴を作り続けてきました。現在、経営の舵を取るのは高橋和義さん。祖父から数えて4代目の社長となります。

「入社当時は、大手メーカーの靴を委託製造することを主軸にして経営も安定していました。しかし、バブルが崩壊して景気が悪化し、海外から安価な靴が流入。取引先からの仕事も激減しました。単価を下げると利益が出ないため、増収を目指すのではなく、利益が出るやり方を模索しました」と高橋社長。これを機に生まれたのが、「謹製誂靴・オリジナルカスタムメイドシューズ(OCS)」です。

OCSは男性用スーツのイージーオーダーにヒントを得たもの。100種類以上ある足型サンプルの中から、長さや幅が合ったものを数足フィッティングし、さらに職人による微調整を行いながら仕上げていきます。デザインはオーソドックスなものを豊富に用意し、トゥの形や革の種類・色、ソール、ヒールなどの選択が可能。オリジナリティを追求しながらも、履き心地がよくジャストフィットする1足をリーズナブルな価格で提供できるよう工夫を凝らしました。

このシステムを、信頼の置ける靴店や服飾店と提携して販売網を構築・拡大。現在、謹製誂靴を取り扱う店は全国に200店舗以上になりました。

国内外で高い評価 今後は欧州市場に挑戦

革靴は200以上の工程を経て出来上がります。パターンと呼ばれる型紙を作り、型に沿ってパーツごとに革を裁断。蒸気で蒸して柔らかくした革をトゥなどに巻き付け、中底を縫い合わせた上でソールを縫い上げ、ヒールを貼り付けます。細部の形を整えたらクリームを付けて磨き上げ、最後に紐を通して完成します。

多岐に及ぶ工程は分業化しており、約80名の社員が担います。そのうち20~30代の若手は4分の1ほど。働きながら靴作りを学ぶ研修制度を利用して入社する人が増えています。「みんなで意見を出し合って、もっと使いやすいように自工具を工夫するなどして励んでいます」と高橋社長。ベテランの技を間近で学びながら、若手社員への技術継承も図られているようです。

事業の3本柱は、相手先ブランドの靴製造、独自ブランドのコンフォートシューズシリーズ、OCSです。OCSは、アメリカやカナダなど海外6カ国にも取扱店が誕生しており、「オーダーメイドなのにリーズナブルだと好評をいただいています。今後は、靴の本場であるヨーロッパの市場を開拓したいと考えており、戦略を練っているところです」。このシステムの良さが広く認知されれば、販路の拡大が見込め、海外で充分に戦えるとにらむ高橋社長。今後、OCSとコンフォートシューズシリーズを両輪とした経営戦略に意欲を燃やしています。

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