岩手県盛岡市城西町10-11
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盛岡の夏祭りとして知られる盛岡さんさ踊り。祭りに欠かせないさんさ太鼓は、市内の3軒の太鼓店が手作りしています。高松義雄太鼓店は明治時代の末に創業し、現在は4代目の高松孝治さんが暖簾を守っています。
さんさ太鼓作りは、皮の加工と胴との組み合わせがメイン。胴の部分は桶職人が作ったものを仕入れていましたが手に入りにくくなり、今は建材などに使われる厚い紙製の筒も使用しています。
太鼓の皮は牛の皮が原料で、県内の畜産処理加工会社から仕入れます。皮には脂肪や汚れが付いているため洗浄し、塩漬けにして防腐処理を行います。次に、水で戻した皮を薬剤に漬けて毛を取り除き、傷などないかチェックして型を取り、裏面を平らに削って厚みを調整します。厚さが均等になったら、柔らかいうちに鉄の枠に皮を張り丸く伸ばした後、細く切った皮で縫い合わせます。数日乾燥させ、しっかり皮が乾いたら、塗料でさんさ太鼓特有の模様を付けます。最後に、皮と黒く塗った胴を組み合わせて紐でつないで、さんさ太鼓のできあがりです。このような工程はすべて手作業で行われ、たくさんの手間と時間がかかりますが、多い年には100個以上も作ってきたそうです。
孝治さんは、別な仕事に就いており、先代を手伝う程度でしたが、30歳の時に本格的に太鼓を作るようになりました。「見よう見まねでやり始め、いいものを作ろうと努力してきました。生の皮は乾くと1/3から1/4ぐらいの薄さになります。皮の厚みがどのくらいになるかを推測しながら、手の感触だけで均等に削るのが最も難しい」と話します。店では太鼓を作るだけでなく、修理にも自信を持って取り組んでいます。
修理全般を引き受けるのは、長男の恭兵さん。3年前に自ら店を継ごうと決心し、孝治さんの下で技術の習得に努めています。「ボロボロの太鼓をきれいに修理すると達成感がありますし、お客さまからありがとうと言われると嬉しいです」とやりがいを感じています。
「お客さまに満足していただくため、技術を継承していくことが大切」と話す孝治さん。試行錯誤を重ね培ってきた太鼓作りの技が次の世代に受け継がれるとともに、地域の伝統文化を支えつないでいます。
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