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トークネットのコミュニケーションマガジン

燕三条Bit オーナーシェフ
秋山 武士氏(あきやま たけし)

[ プロフィール ]
燕市生まれ。調理師専門学校を卒業後、首都圏の老舗ホテルのレストランで修業し、帰郷。新潟市内のレストランで料理長、統括料理長を歴任した後、2013年に独立。現在は新潟、銀座などに計4店舗を構える。

本店/新潟県三条市須頃1-17
燕三条地場産業振興センター 1階

豊かな食体験を通じて
“メイドイン燕三条”の魅力を発信する

古くから職人文化を育み、高度な金属加工技術を誇る燕三条エリア。
そこで生み出される地場産品の魅力を、全国・世界に向けて発信するレストラン「燕三条Bit」オーナーシェフの秋山武士さんに、料理人の道を選んだきっかけや、お店を運営する上での考え方、燕三条のものづくりの魅力などについて伺いました。

父の影響で「食」の道へ 修業を経て地元で独立

ものづくりのまち・燕三条の伝統工芸品と、新潟の食材を使ったメニューを提供する「燕三条Bit」。新潟県内だけでなく東京にも店舗を拡大し、注目を集めています。そんな人気店を経営するオーナーシェフの秋山武士さんに、独立に至った経緯を聞きました。

「食に関わる仕事を志したのは、コックだった父の影響が一番大きいですね。当時の燕市には洋食店がほとんどなく、ホテルレストランで修業した父が作る正統的なハンバーグやドリアは地元でも珍しかったんです。そんな父の背中を見て育った私も、洋食の料理人を目指して首都圏のホテルのレストランで修業を積みました。27歳で新潟に帰郷して、しばらくは新潟市内のレストランの料理長を務めていたのですが、徐々に独立への思いが芽生えていきました」

契機となったのが鎚起銅器の伝統技術を持つ燕市の企業「玉川堂」での食事イベントでした。秋山さんはケータリングのシェフとして参加し、燕三条のものづくりの魅力を再認識しました。

「イベントは、燕三条ブランドのものを使った一夜限りのレストランでした。そこで燕三条で生み出される食材や、テーブルウェア、カトラリーの素晴らしさに気づき、このプロダクトの魅力をもっと広めていきたいと思ったのです」

秋山さんは2013年、燕三条を全国、世界に発信することをコンセプトにした「燕三条イタリアンBit」をオープンさせました。

「居酒屋甲子園」の優勝が背中を押した銀座出店

創業から3年目で、秋山さんに転機が訪れます。

「2015年に出場した居酒屋甲子園で、全国約1500店舗の中から一位に選ばれたことで、銀座の中央通りに出店のお話をいただきました」

チャンスを掴んだ秋山さんは、2016年に二店舗目となる銀座店をオープン。この銀座出店により、大手不動産ディベロッパーからさらなる店舗展開の話をもらうなど、大きな飛躍がありました。

「出店をきっかけに人脈が広がり、いろいろなご縁が結ばれました。飲食業にとって大切なことは、こうした良い関係性を築くことの積み重ねだと思います」

秋山さんが大切にしているのはお店を応援してくれる人々とのご縁と、挑戦する心を持ち続けることです。

燕三条のものづくりと新潟食材の素晴らしさ

お店で使われているのは、燕三条の匠たちが作る、質の高い食器やカトラリーです。

「燕三条のものづくりは、人を幸せにしてくれます。例えば、厳選した黒檀から伝統技で作られるマルナオの箸で食事をすることは、いつもの箸で食べるよりも少し幸せな気持ちにさせてくれると思いませんか。私は、さまざまな燕三条の『良いもの』と触れ合う機会を提供することで、お客さまの人生を少しでも豊かにしていただきたいと考えています」

秋山さんのお店で提供するメニューには新潟の食材が多く使われています。秋山さん自身が世界中の有名なレストランやマルシェに足を運び、自ら確かめて納得したうえで、新潟の食材を多く選んでいます。

「あらゆるものを食べ比べてみて、やっぱり新潟の食材は素晴らしいと思いました。極上の素材を存分に活かすことが料理の醍醐味なので、私がメニュー考案の際に一番大切にしていることは『素材選び』です。いかに優れた素材を見つけられるかというのは経験が重要なので、なるべくトップレベルのお店にたくさん通い、自分の視座を上げていくことに時間とお金を使います。お店のスタッフたちにもその力を養ってほしいので、いろいろな場所へ連れて行くようにしています」

スタッフとともに切磋琢磨し、秋山さんは、日々レベルアップを目指し、ジャンルにとらわれない独創的なメニューを生み出しています。

若手スタッフの育成と海外出店を見据えて

秋山さんはお店づくりの中でスタッフの育成にとても力を入れています。

「ここで働いた経験が彼らの自信につながって、人生の財産になればいいなと思っています。私が銀座や日本橋で挑戦するのも、スタッフたちに『地方で働いているから』なんて理由で自分の可能性を狭めてほしくないからです。新潟で働いていても、銀座にお店を出し、東京の人気店と肩を並べることができるんだと彼らに自信を持ってもらいたいんです」

コロナ禍においても、秋山さんは新潟伊勢丹地下にデリカテッセンをオープンし、惣菜などのECサイトを立ち上げました。また、レストランの下準備を一括して行うセントラルキッチンを新潟市に設置するなど、次々と新たな事業展開に乗り出しています。さらに、2025年をめどに、ニューヨーク進出も目指しています。

「コロナ禍はもちろん大変でしたが、この2年間で『今できること』はやり切ったと思っています。今後はニューヨーク出店という大きなビジョンを掲げているので、どうすれば一日でも早く実現できるのかを考えて進めています。北海道のニセコへの出店計画もあり、それも海外進出に向けた大きな一歩になると思っています」

燕三条の魅力を全国、そして世界へ。秋山さんの挑戦はこれからも続いていきます。

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vol.38 2022
(PDF 5.8MB)

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