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トークネットのコミュニケーションマガジン

齋栄織物 株式会社

〒960-1406
福島県伊達郡川俣町鶴沢馬場6-1
TEL.024-565-2331
https://www.saiei-orimono.com/

自社の強みを活かし誇れる基幹商品を開発

福島県の北部は桑の生育に適した気候風土で、古くから養蚕や機織が盛んに行われていました。江戸時代には、川俣町で定期的に生糸や羽二重販売の市がありました。また、明治時代に入ると絹織物が機械で大量生産されるようになり、川俣シルクは横浜港から海外へ輸出されました。

川俣の絹織物の特徴は薄手であること。絹糸が高価だったため、少ない糸で高い価値を生む軽目羽二重かるめはぶたえの技術が発達しました。齋栄織物は、この技術をさらに進化させ、世界一薄い絹織物「フェアリー・フェザー」を開発しました。

昭和27(1952)年に創業し、先染め織物を得意として上質な絹製品を提供してきました。会社の代名詞となる商品を模索する中、軽目羽二重の特徴を追求する過程で、先染め織物の技術を融合しようとしたことが、フェアリー・フェザー開発のきっかけ。長年付き合いのあるウェディングドレスデザイナー桂由美氏の「花嫁がダンスを踊れるくらい軽いドレスを作りたい」という言葉も後押しとなりました。

フェアリー・フェザーは、人間の髪の毛の6分の1ほどの太さという超極細の絹糸を使います。クモの糸のように細くしなやかですが扱いが難しく、機械で織っても糸切れや毛羽立ちを起こさないようにするため、織機や整経機などを独自に改良したほか、技術面でさまざまに工夫を重ねました。2009年頃から開発を始め、製品化するまでに4年ほどかかりましたが、2012年に「ものづくり日本大賞・最優秀賞」と「グッドデザイン賞」を受賞しました。

シルクをより身近に循環型モデルも構築中

絹織物の製造工程は、糸の準備から始まります。ふのりの液に生糸を数時間漬け、3~4日陰干しして糸に強度を持たせます。次に、糸を枠に巻き取り、ボビンに巻き直して経糸たていとを準備します。仕上がりの大きさによって経糸の長さと本数を整え、金属製の用具に付けられた穴に経糸を1本1本手作業で通します。緯糸よこいとは、木製のくだに糸を巻き直しシャトルに入れて準備。織機にセットされた経糸に緯糸が織り込まれ、生地が仕上がります。最後に傷や汚れなどがないかを丁寧にチェックします。

さまざまな生地を機械で量産する中で、糸の準備やセッティングに1カ月、織り上がるまでに2カ月ほどかかるそうで、手作業による工程が多く、かなり手間もかかります。技術を継承するため、昨年は社員が3名入社し、さまざまな技能の習得に励んでいます。

同社は海外との取引にも積極的で、40年ほど前から欧米市場へ絹織物を輸出。世界的に有名なブランドもフェアリー・フェザーを採用するなど、着実に実績を重ねてきました。また、絹織物は軽量で耐熱性があることから、近年、フィルターや電線の素材など工業用資材としても注目を集めているそうです。

商品開発を担ってきた齋藤栄太常務取締役は、「現在、生産工程で出るくず糸を再利用したサステナブルな商品を開発中で、循環型のビジネスモデルを構築できればと考えています。また、弊社の生地がホテルのカーテンに採用されたことから、これを機にインテリア関係へ販路を拡大したいと思っています。シルクが身近にある生活の中で、手に取ってその良さを感じていただけるとうれしいですね」と抱負を話してくださいました。

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(PDF 5.8MB)

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