広域イーサネットとは?導入のメリットや、専用線・インターネットVPNとの違いを解説
サイバー攻撃の巧妙化などを背景に、拠点間の通信を安全に行う必要性はますます高まっています。拠点間通信においては、広域イーサネット、専用線、インターネットVPNといったさまざまな手段があります。
しかし、企業の情シス担当者や総務担当者のなかには、以下のようなお悩み・課題を持つ方も多いのではないでしょうか。
「それぞれのネットワークサービスの概要や導入メリットを詳しく理解していない」
「自社に合った最適なサービスの選び方が分からない」
「セキュリティの担保を最優先としつつ、できればコストも抑えたい」
本記事では、広域イーサネットの概要やメリット、専用線・インターネットVPNとの違いについて解説します。
目次
1. 広域イーサネットとは
はじめに、広域イーサネットの概要・仕組みやメリット、デメリットについて解説します。
広域イーサネットの概要・仕組み
地理的に離れた本社や支社などの拠点間を、あたかも一つの大きなLAN(社内ネットワーク)のように接続するサービスです。通信事業者が提供する閉域網(許可されたユーザのみが利用できるクローズドなネットワーク)に各拠点を接続して利用します。
インターネットを経由しないため盗聴による情報漏えいや不正アクセスなどのリスクが低い点や、レイヤー2接続のためIP以外のプロトコルにも対応できる柔軟性の高さが特徴です。
広域イーサネットの近年のトレンドとしては、拠点間を繋ぐだけでなく、データセンター向けの高速回線や、AWS・Azureなどメガクラウドへの閉域接続などのニーズも高まっています。
広域イーサネットのメリット
広域イーサネットの主なメリットは次のとおりです。
通信品質・速度
通信事業者が保有する閉域網を活用するため、インターネット等のオープンネットワークと比較して低遅延高品質な通信が可能です。帯域確保型・ベストエフォート型など、ニーズに合わせて最適なプランを選択することができます。
高いセキュリティ
インターネットとは切り離された閉域網で通信するため、第三者による侵入や盗聴のリスクが低く、安全に利用できます。
柔軟性と簡易性
社内LANを延長する感覚で導入でき、技術的にシンプルです。プロトコルフリーのため、ネットワーク構築の自由度も高くなっています。
広域イーサネットが向いている業種や企業
広域イーサネットは、地理的に離れた拠点間を安全かつ高品質な閉域網で接続する特性から、以下のような業種や企業に向いています。
✓官公庁・金融機関・医療機関
住民・顧客の個人情報や取引データといった機密性の高い情報を扱うため、インターネットから隔離されたセキュアな通信環境が不可欠です。高信頼性が求められるこれらの業種に適しています。
✓製造業・建設業
設計部門と工場、あるいは本社と現場間で、CADデータのような大容量ファイルのやり取りが頻繁に発生します。帯域確保メニューを選択することにより安定した高速通信が可能なため、業務の効率化に貢献します。
✓多店舗展開する小売業・サービス業
全国の店舗や拠点を結び、POSデータや在庫情報、売上データをリアルタイムで本部に集約することが必要です。拠点の増減にも柔軟に対応できる拡張性の高さが強みとなります。
✓放送・メディア業界
放送・映像コンテンツの大容量データを、拠点間で安定して伝送可能です。制作拠点や放送設備のIP化を支え、柔軟で効率的なネットワーク環境を実現します。
✓その他、セキュリティを担保して拠点間ネットワークを構築したい企業(業種問わず)
広域イーサネットの提供パターン
広域イーサネットには、主に以下の2つの提供パターンがあります。
①光ファイバーのアクセス網を自社で保有している通信事業者がそのまま提供するパターン
光ファイバーのアクセス網を自社で保有している通信事業者が広域イーサネットを直接提供することで、拠点の増減時でもレスポンスが速く、障害時の対応を迅速に行えるなどのメリットがあります。
②光ファイバーのアクセス網を保有していない事業者が他社設備を借りて提供するパターン
他社光ファイバーのアクセス網を借用して広域イーサネットを提供できるようになりますが、①のパターンと比べて、レスポンスや障害対応などの対応品質は低下します。
2.広域イーサネットと他の通信手段との違い
広域イーサネットと他の通信手段との違いとして、専用線とインターネットVPNとの違いについて解説します。
広域イーサネットと専用線の違い
専用線は、特定の2拠点間を接続し、契約者だけが占有して利用できる通信回線です。自社専用の回線であるため、通信帯域が保証されており、第三者による盗聴や侵入のリスクが極めて低くなります。そのため、高いセキュリティと安定した通信品質を確保できます。
広域イーサネットと専用線の主な違いは以下のとおりです。
接続形態
専用線が常に「1対1」の接続に限定されるのに対し、広域イーサネットは「多拠点対多拠点(N対N)」の柔軟な接続が可能です。LANを延長する感覚で、複数の拠点を1つのネットワークとして統合できます。
拡張性・柔軟性とコスト
専用線は拠点追加の際に新たな回線契約と敷設が必要となり、高コストで拡張性も低くなります。一方、広域イーサネットは同一の契約内で拠点の追加や帯域の変更が容易に行え、コストを抑えつつネットワーク構成を柔軟に変更可能です。
広域イーサネットとインターネットVPNの違い
インターネットVPNは、公衆網であるインターネット上に仮想的な専用トンネルを設けて拠点間を接続する技術です。通信データを暗号化して内容を解読不能にした上で、データを別のパケットで包み込む「トンネリング」を行います。この二重の仕組みで、第三者による盗聴や改ざんを防ぎ、安全性を確保します。
しかし、ランサムウェア被害のトレンドとして、インターネットに接続しているVPN機器が被害原因になることが多くなっていることから、サイバー攻撃のリスクが高まる構成です。
既存のインターネット回線を利用するため、専用線などに比べて安価に導入可能です。ただし、通信速度や安定性はインターネットの混雑状況に影響されます。
広域イーサネットとインターネットVPNの主な違いは以下のとおりです。
利用する回線とセキュリティ
広域イーサネットは閉域網、インターネットVPNはインターネットを介した公衆網です。 そのため、広域イーサネットと比較して、インターネットVPNはランサムウェア等のサイバー攻撃のリスクが高まる構成となっています。
通信品質・速度
広域イーサネットと比較して、インターネットVPNは一般ユーザの影響を受けやすく、通信品質が落ちる場合があります。
広域イーサネット、専用線、インターネットVPNの簡単比較
広域イーサネット、専用線、インターネットVPN、の主な特徴の違いを比較表で示すと以下のようになります。
| 項目 | 広域イーサネット | 専用線 | インターネットVPN |
|---|---|---|---|
| 利用する回線 | 通信事業者の閉域網 | 物理的な専用回線 | インターネット回線 |
| 接続形態 | 多拠点間(N対N) | 2拠点間(1対1) | 多拠点間(N対N) |
| 通信品質・速度 | ◎高品質・帯域確保 | ◎高品質・帯域保証 | △不安定 |
| セキュリティ | ◎高い | ◎非常に高い | △低い |
| 拡張性・柔軟性 | ○高い | △低い | ○高い |
| コスト | ○標準的 | △高い | ◎安い |
各項目を総合的に考慮すると、広域イーサネットがおすすめの選択肢となるでしょう。
3.まとめ
この記事のポイントは以下のとおりです。
- 広域イーサネットは、地理的に離れた本社や支社などの拠点間をあたかも一つの大きなLAN(社内ネットワーク)のように接続するサービス
- セキュリティや通信品質、カスタマイズ性の高さなどが特徴
- 専用線やインターネットVPNなどの他の通信手段もあるが、セキュリティや通信品質、コスト、拡張性を総合的に考慮すると広域イーサネットがおすすめ
本記事で紹介した広域イーサネットに関するサービスとして、当社では「Think VPN」を提供しています。Think VPNは、トークネット独自の光ファイバー網で提供している広域イーサネットサービスであり、離れた拠点間を安定的かつセキュアに通信可能です。
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